心の音を届けたいー篠笛奏者 米津宏美ー

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米津宏美(Hiromi Yonezu)

心音舎 代表/Kujack Music Company 副代表
4月27日生まれ。心音舎では代表を務める傍ら、誰でも楽しめる篠笛教室やイベントを運営しており、ピアニストである立仙易大と共にKujack Music Companyを運営し、「星空ラマン」として活動をしている。

名古屋を中心に活動している篠笛奏者の集い「心音舎」は、2015年の暮れから東京にて「東京心音舎:篠笛道場」教室を開講し、2016年1月をもって第1タームを終えました。そして2月から第二タームが始まろうとする今、心音舎の代表を務める米津宏美さんにお話を伺いました。

(東京心音舎:篠笛道場についてはこちら⇒篠笛を学ぶならここ!東京心音舎:篠笛道場

実は歌手になりたかった

戸田秀成(以下、戸田):東京心音舎、第1タームお疲れ様でした。まず、米津さんが篠笛をはじめようと思ったキッカケを教えてください。

米津宏美(以下、米津):ありがとうございます。はい。キッカケは、私が小学生の頃まで遡ります。小学生の頃から歌を唄うのが好きで、小学4年から合唱部に所属してました。当時は唄うことが楽しみで、自分にとって幸せなひと時であり、癒やしだったんです。特にパートが決まっているわけでもなく、みんなとハモる。これが楽しくてしょうがなかったんです。でも、ある時体調を崩してしまったんです。でも、体調を崩した中でも唄うことだけは自分にとって特別であり、唄っているときは自分の体調のことも忘れることができたんです。そして月日が経ち、自分の誕生日がきて、自分へのプレゼントとしてオカリナを買ったんです。

戸田:オカリナ。それはまたなぜオカリナだったんですか?

米津:ふと楽器屋さんを訪れた時に惹かれたんですよね。当時はオカリナというものを知らず、音が出るかすら分からない状態だったんですが、購入しました。実際に音を出してみると「ポーッポーッ」という音が出て、これが鳥の声に近いなって思ったんです。

戸田:思い出してみると、確かにオカリナって近い音を出しますね。

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米津:私、幼稚園の頃からセキセイインコを飼っていたんですよ。そしてオカリナの音を聞いた時に、この音を通して鳥と会話がしてみたいなと思ったんです。何回か試すと、人の声にはなかなか反応しなかったのに、オカリナの音には反応するようになったんです。なので、考えてみるとここが『吹く』ということの原点なのかもしれません。

戸田:鳥と会話。なかなか興味深いですね。そこからどのように篠笛と出会ったんですか?

米津:次に触れた楽器が和太鼓なんです。中学の担任が和太鼓クラブの先生だったので、そこに所属して和太鼓叩いてました。練習場では隣で篠笛を吹いている方がいたんです。そこで初めて篠笛と出会いました。でも、当時の私はみんなで音楽を奏でることに興味があり、和太鼓に没頭していたので自分には向いていないなって思っていたんです。

戸田:和太鼓ですか。幼少期から和楽器と触れる機会が多かったんですね。

楽器から離れて料理の道へ

東京心音舎レッスンの一枚

東京心音舎レッスンのひとコマ

戸田:練習場で篠笛を吹いている方を見かけた。その後、和太鼓から篠笛へと転身したんですか?

米津:いえ、実は料理の道に進んだんです。歌はもちろん好きだったんですが、音楽を通して食べていけるかと思い、その次に好きだった料理を極めようと思ったんです。小さい頃から料理人は憧れていましたし、手に職を考えた時いいなと思ったので。高校卒業後は、大阪の調理師学校でフランス料理を学び、22歳までは音楽とは無縁の世界にいました。でも、小学生の頃の持病が再発して料理人として続けられなくなってしまったんです。そこで、地元の愛知県に戻って自分の誕生日と設立記念日が同じだったホテルでサービス業として働き始めました。そしてそこで開催されたパーティーで和太鼓を演奏する集団を見かけ、彼らが演奏することにより生計を立てることが出来ることを知り、ホテルでの仕事を辞め、アルバイトをしながら女性の和太鼓グループに所属して活動を始めました。

戸田:まさに波乱万丈な人生ですね。

米津:そうですね(笑)。でも、ここでまた持病が悪化してしまったんです。太鼓のバチが持てなくなるまでになってしまい、もう重いものも持てない。でも、楽器は続けたい。そんな時に始めたのが篠笛です。そこで幼少期にはオカリナを通して鳥の鳴き声を真似てみたりしてたことを思い出しながら吹き始めました。

戸田:紆余曲折して、やっと篠笛にたどり着いたという感じですね。

「星空ラマン」結成から心音舎誕生まで

戸田:では、篠笛を始めるようになってから、何か印象的なことはありますか?

米津:大きかったのは、立仙さんとの出会いですね。活動を5年前後続けていく中で今一緒に活動しているKujack Music Companyの立仙さんと出会いました。彼との出会いがキッカケで私も名古屋を拠点に活動をするようになりました。


 

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立仙易大(Yasuhiro Rissen)
Kujack Music Company代表。イベント制作・運営、アーティストマネジメントを行う傍ら、自らもピアニストとして活動している。


 

立仙易大(以下、立仙):米津さんとの出会いは知人のライブだったんです。そのライブの一曲目で泣いている米津さんを見て、後から笛の先生だということを知り、自分も洋楽器だけではなく和楽器も取り入れていきたいと考えていたので声をかけました。

戸田:運命的な出会いですね。そこから心音舎は始まったんですか?

米津:いえ、心音舎とう屋号で活動し始めてからは2年弱です。それまでは、以前の和太鼓の仲間を集めてグループを作ったり、篠笛奏者のグループを作ったりしたんですが、立仙さんと出会って「星空ラマン」という篠笛ピアノユニットを組み、そこから心音舎が誕生しました。

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戸田:なるほど。心音舎という名前かっこいいですよね。この屋号への拘りはあるんですか?

米津:私は篠笛の音は心の音だと思っていて、実際の音ではなく、心に聞こえてくる自分のみの音だと思っているんです。皆さんどうしても、実際に聞こえるいわば表面的な音に拘ってしまうんですが、あなたがどう聞こえるか、どう心に響くのかも大事だと思っているのでこの屋号にしました。

戸田:心の音。私自身も音楽を少しかじっていたのでその思いは分かります。

本当はSNSでつながっていた

戸田:今回、東京での教室の1ターム目が終わりましたが、篠笛を作る田中康友さんとの出会いについて教えて下さい。

(調律笛師 田中康友さんの記事はこちら⇒世界で一本の篠笛をつくる笛工房 和康

米津:去年初めてお会いしたんですが、実はその前にSNS上でやり取りをしていたんです。和康の田中さんがカラフルな笛の写真を投稿していて、つい反応してしまったんです。そしたらお電話が来て、和康作の笛を薦められたんです。正直驚きましたね。でも、その後立仙さんが新しい曲を作り、笛を新調する必要に迫られた時に和康さんのHPがヒットしたんです。そこからオーダーメイドで一本お願いして、そこからいろいろ動き始めました。

戸田:それはまた運命的な感じですね。

米津:そうですね。田中さんの笛は、お囃子経験者だから作れる笛という点で素晴らしいですよ。最高音が出る笛を作るのは難しく、作れる職人は少ないのに田中さんはそれを意図も簡単に作ってしまう。そして最も驚き、良いなと思うのは持ち替えなくて良いことです。通常出す音域によって笛を持ち帰る必要があるのですが、和康作の笛はその必要性がないので大変ありがたいです。

戸田:経験者だから成せるワザなのですね。

1家族に1人の笛吹きを

戸田:最後に、米津さんの目標を教えて下さい。

米津:私は篠笛というものはホームドクターだと思っているんです。演奏を通して自分はもちろん、聞く人も癒やされるような奏者を家族が応援する環境づくり。これが達成したい目標です。私自身も篠笛との出会いで救われた身というのもあり、この思いが強くあります。これを達成する為には、篠笛の認知度自体上げなくてはいけないので、ギネス登録できるイベントにチャレンジしたいです。東海道五十三次を1,000人の篠笛奏者で繋ぐ。面白そうじゃないですか?

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戸田:それ達成したら、間違いなく篠笛の認知度は上がりますね!

米津:一緒にチャレンジしてくれる方募集しています。そして心音舎としては、今までは教室:イベントが7:3の割合だったのが、これを逆転させて3:7にしたいですね。篠笛奏者が活躍する舞台を用意したいです。

戸田:篠笛という気軽に始められる楽器だからこそ、ギネス登録やイベント運営を通して発信していきたいですね。本日は、ありがとうございました!

米津:こちらこそ、ありがとうございました。関東在住で篠笛に興味ある方は、ぜひ東京心音舎:篠笛道場へ!

(東京心音舎:篠笛道場 第1タームについてはこちら⇒篠笛を学ぶならここ!東京心音舎:篠笛道場

 


心音舎
代表:米津宏美
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