日本人の美意識がここに「つまみかんざし」の魅力とは

かんざし

「つまみかんざし」と言えば七五三や振り袖を着た時、そして京都の舞妓さんも使うかんざしのことです。目にしたことのある方も多いと思いますが、「つまみ」の由来や、その歴史はあまり知られていないようです。
つまみかんざしの起源やその魅力とはいったいどのようなものなのでしょうか。

◎かんざしの起源

まず、かんざしの始まりをご紹介します。
かんざしの起源は縄文時代に遡ります。その頃、1本の細い棒には不思議な力が宿ると信じられており、それを髪にさして身に付けることで魔除けの効果があると信じられていました。この1本の細い棒というのがかんざしの原型とされています。

◎つまみかんざしとは

つまむ

つまみかんざしは、羽二重(はぶたえ)という薄い小さな絹の布(きれ)をピンセットでつまんで作られる日本の伝統工芸品です。江戸時代に髪飾りとして誕生し、色彩鮮やかなものだけに町娘に好んで付けられていました。
「つまみ」というのは、ピンセットで布をつまんで折りたたむ動作からきています。伝統を受け継ぎ、1つずつ丁寧に作り上げる職人は全国で10軒ほどです。
店頭で目にするものの中には、海外の工場で途中までを組み立て、日本で仕上げるという工程を経たものもあります。髪飾りとしてだけではなく、部屋のアクセサリーとしても愛用されています。

◎つまみかんざしの種類

・前挿し:前髪のところに挿す大きなかんざしで、勝山ともいいます。
・横挿し:一般に言われるつまみかんざしのことです。髪の右側または左側に挿します。
・楠玉:丸型のかんざしで最も古典的なものです。飾りとして長い房を下げます。
・花櫛:木櫛の上につまみ細工を施したものです。
・平打ち:丸い平らなかんざしです。花櫛と組み合わせて使われます。

◎つまみかんざしの魅力

つまみかんざし

草木染めで落ち着いた色の布を使ったものは成人式や大人用に、化学染料で染めた派手な色の布を使ったものは七五三用にと、場面ごとに女性の髪を美しく飾ります。さらに、花びらの一枚一枚が絹の布で出来ているので、ふんわりとした優しい風合いと艶が上品さを引き立てます。

羽二重

左:化学染料 右:草木染め

〜おわりに〜

つまみかんざしは、作り方・表現ともに日本独特のものです。四季の草花や生き物などから影響を受け育まれてきた日本人の持つ美意識から生まれ、今なお受け継がれています。

花びらなど一つ一つのパーツが小さいものほど手間がかけられたものなので、手に取る際に注目してみてください。

 

かんざし

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