ポイントをおさえて俳句を始めよう

日本には先人から受継ぐワザだけでなく、文化や芸能が数多く残されています。

日本の伝統芸能と聞くと、神楽や歌舞伎などをイメージする方が多いかもしれませんが、実は「俳句」も伝統芸能に含まれています。気軽に始められる俳句は、特に伝統文芸に分類され、これは季語など言葉遊びを兼ねていることからそう言われています。

改めて「俳句」というものの歴史や、基本的な詠み方を確認してみましょう。

◎俳句の歩み

俳句とは、世界最短であり五・七・五の十七音から成る日本語の定型詩です。
十七文字や十七音、十七語とも呼ばれることがあり、今では海外でも「Haiku」と称されています。シラブルの規制がなく、季語が無いことからとても取り組みやすいことから、海外での人気も高まっています。

俳句は、近世に発展した文芸であり、俳諧(はいかい)からうまれた近代文芸です。俳諧とは、江戸時代に栄えた日本文学のことを言い、正当の連歌から分岐した遊戯性を高めた集団文芸やそれらの作品のことを指します。(俳諧の連歌とも言う)
17世紀には松尾芭蕉が俳諧の芸術性を高め、単独でも鑑賞出来る自立性の高い発句を多く読んだことが俳句の原型ではないかと言われています。その後は明治時代に正岡子規が俳句を成立させました。

俳句には、季語や季節感を持たない無季俳句や、五・七・五の定形からの自由を目指す自由律俳句などもあります。

◎俳句を詠む上でのポイント

春の季語「桜」

春の季語「桜」

俳句の魅力は、十七音でその季節や情景を聞き手が想像しやすく、その時代背景を描写することが出来ることです。
そして季語を入れ、五・七・五で作ることが原則とされており、これを「有季定型」と言います。

また、俳句は挨拶であり、解釈は自由であることから誰でも楽しむことが出来ます。
ここでは、一句詠む上で抑えておきたいポイントをご紹介します。

季語

俳句を詠む上で、季語の有無は重要なポイントです。
季語とは、春・夏・秋・冬・新年の5つの季節を象徴的に表す言葉です。春ならば「桜」、冬なら「雪」のように、聞き手がイメージしやすい言葉を選ぶのがポイントです。これは季語は季節感・連想力・象徴力の3つの特性を持っていると言われているからです。

夏の季語「西瓜」

夏の季語「西瓜」

どのような季語を使用するか困ってしまった場合は、「歳時記」という本に季語がまとめられているため、参考にすることが出来ます。

字余り・字足らず・自由律

五・七・五の十七音から成ることが基本ですが、五音が六音以上や七音や八音以上又は以下になってしまうことがあります。もし定型から外れてしまい、五・七・五以上となった場合は字余り、音の数が足らないものを字足らずと言います。
字余りや字足らずが評価されるときは、どうしても定型から外れていることから低く評価されてしまうことがありますが、重要なのは自分が表現したいことを表せているかです。

また、十七音にとらわれない自由律の句もあり、これは音数が違うだけでなく、季語も無いことがあります。

切れ・切れ字

俳句は、俳諧の連歌が独立したものであり、最初の句である発句に下の句をつけていくものが連歌なので、下の句がつけやすいように切れ字を多くの場合使用します。
現代で使われる切れ字は「や」「かな」「けり」が多く、この切れ字の有無や良い切れを作ることにより下の句がつけやすいかは俳句の最大の楽しみであることから評価対象ともなります。

「かな」:末尾に使用され、感動や詠嘆を表す
・  「や」  :上の句に使用され、詠嘆や呼びかけを表す
「けり」:末尾に使用され、断言するような強い調子を与える/過去を表す

秋の季語「柿」

秋の季語「柿」

〜最後に〜

俳句は、日本の伝統芸能であり簡単に始めることが出来ます。
決まりである五・七・五の十七音や季語の有無、切れ字の活用などどうしても気にかけてしまうものは多いですが、まずは自分が詠みたい、つまり相手に伝えたい句を作ることから始めるのが大事です。
是非、この機会に俳句を始めてみてはいかがでしょうか。

をさな子や ただ三つでも 年の豆 (一茶)
haiku-winter

冬の季語「雪」

参考:俳句の作り方

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