世界で一本の篠笛をつくる笛工房 和康

地域に密着しながら生き続けてきた大衆芸能の一つである日本の横笛、篠笛。
お祭りや歌舞伎には欠かせない和楽器であり、誰もが一度は耳にする音色です。
今回は調律笛師の田中康友(たなかやすとも)さんにお話を伺いました。

(篠笛についてはコチラの記事をご参照ください。)

 

工房全景

◎篠笛を作り始めたキッカケは何ですか

“吹く人に合ったものを作ってあげたい”

自分は若いころから父の影響でお囃子(おはやし)をやっていました。

浅草などで篠笛を探していた時、自分に100%合ったものに出会えなく、妥協しなくてはいけませんでした。自分の吹き方に合わせた篠笛を作る笛師はいないのかと探したが見つからず、ほとんどの場合断られてしまいました。

自分はサラリーマンになったのですが、職場で音楽関係の仕事をした際に管楽器の基礎となる部分の勉強をさせて頂きました。その後も独学で音響に関する勉強を重ね、50歳の時にもう一回自分で作ってみようと決心しました。

◎普段のお仕事の内容を教えてください

私が作る篠笛は「My篠笛」であり、お客様一人ひとりに調律したものとなっています。なので全てオーダーメイドで作っています。

早い時は朝の6時から、遅い時は夜中まで制作しています。

制作工程一コマ

◎制作における原動力は何ですか

一番はお客様の声ですね。

依頼されている調律が上手く出来た時は嬉しく思い、同時にやって良かったなと改めて感じます。

◎田中さん「ならではのもの」とは

環境に合わせた笛を作っていくことです。

笛を吹く人は誰もがアーティストであり、音にこだわりを持っているので、そのこだわりを完成形にするのが私の役目だと思っています。

また、お客様に音響に関することをちゃんと説明してあげることが大切だと思っています。

音がどうやってできているのか、基音・倍音・3倍音など菅の中で出来る音についての知識を伝えることもしています。

チューニング

~最後に~

時代の流れと同時に求められる笛も多様になるなか、時代に合わせた作品を作り続けている田中さん。

My篠笛を求めるお客さん一人ひとりの想いを笛に込め、最高の作品を作るその姿はとても輝いていました。

お祭りなどで聞くお囃子の主旋律となっている篠笛。是非、お祭りに参加した際に耳を澄ましその音色を確認してみてください。

また、田中さんはMy篠笛制作だけではなく、お持ちの篠笛の修復も請け負っているみたいです。もし漆が剥げてしまった、調律を直したいなどあれば是非「笛工房 和康」さんへ。

 

【プロフィール】

田中康友Profile
田中 康友(タナカ ヤストモ)
東京都大森生まれ。
お客様に合わせた篠笛である「My篠笛」を作る傍ら、自身もお囃子などに参加し演奏することを楽しむ。

【笛工房 和康】

和康看板
住所:東京都大田区大森北1-24-8
TEL:080-2045-8150
HP:http://bamboo-wako.com