前回に引き続き、柳井畳店の柳井 博(やないひろし)さんのインタビューをお届けします。
前編はコチラ:世界に似た物はない?日本独自の畳の魅力〜前編〜
◎制作を続けるにあたり原動力やモチベーションは何ですか
過去と未来ですね。今まで建てられてきた歴史的建造物に設置されている畳を知り、研究をすること。そして弟子が育つことは制作を続ける上での原動力となってます。
そして何よりお客さんです。質の良い畳で、質の良い仕事を通して喜んで貰えるのは嬉しいし、原動力ともなっています。
先代から大事にしている想いを受け継ぎ、後輩職人へも残していきたいです。
◎お弟子さんはいるんですか
はい。今は田中君が弟子入りしてます。
そして、田中君の前にニュージーランドへ一時期行っていた弟子がいたんです。彼は約3年ほどニュージーランドでホームステイしておりラグビーに没頭していたみたいです。意外と、他の世界・文化を見た人の方が機転が利き面白い発想が出てくるかもしれませんね。彼は、今もう独立して畳屋やってます。
※お弟子さんの田中さん(右)より、縁(へり)を手縫いする体験の説明を受けています
◎畳の現状
畳は生まれて、1000年以上ある歴史の中で、今が一番のピンチなんです。
機械化が進み、材料なども違うものが生まれてきました。江戸から材料も技法も変わらず受け継がれてきたものが、ここ50年で機械が導入され、材料も代替されてきて、少し流れが早過ぎるなと感じています。
材料から変わってきてしまい、ものすごいピンチ。
天然材料ではないものが増えてきていて、居酒屋などに行くとそういうのを目にして驚きますね。これ、隙間がなくぴったりだな!と思うと実はフローリングに貼り付けるタイプのものであったり。でも、やっぱり座った時などの質感で違うなと感じますよ。
◎畳の魅力は何ですか
やっぱり、素材ですね。わらやい草を編みこんで表を作り、畳という一間の形にしてしまう。
そしてその効能。実はわら床一枚で約一升瓶一本分の水分を吸うんです。
夏は涼しく、冬は温かい。断熱効果もあり、吸水性能があるんです。
〜番外編:道具の紹介〜
最後に柳井畳店さんで使用されている道具をいくつかご紹介します。
・針:縁を縫い付ける時などに使用
・包丁:畳を裁断する時など使用
・長指し(ながさし):畳の長さを測るのに使用
~最後に~
今回は前編・後編に渡り、柳井さんにインタビューをさせて頂きました。
先代から使い続けてきた道具やその技法を大事にし、職人魂を持つ柳井さんのお話はその想いが伝わってきました。
近年、和室のない物件が増えていますが、日本式家屋には必ずと言って良いほど「和室」と「畳」があります。
和室でくつろぐとやっぱり日本人として生まれて良かったと感じ、
猛暑が続く夏、そして寒い冬に畳の上で過ごし、古き良き日本を感じたいなと感じました。
新居に移る際、または畳の貼り替えの際には是非畳屋さんに依頼してみてはいかがでしょうか?
【プロフィール】
柳井 博(ヤナイ ヒロシ)
東京都生まれ。東京都畳高等職業訓練校卒業生。
親子三代続く工房にて、現在はお弟子さんと共に制作に励む。
最近はまっているのは「釣り」だそうです。
【有限会社 柳井畳店】
住所:東京都大田区池上6-11-26
Tel:03-3751-6652
HP:http://e-tatami.bz/index.htm
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