篠笛制作のスタート−竹の選定を体験しました−

田中さん

寒さが厳しくなってきた1月下旬。
竹の選定作業を見せていただくために、笛師の和康さんと某所に午前7時に集合しました。
私が到着すると、そこには既に軍手をして準備万端の和康さんの姿が。
挨拶をした後、私も軍手を借りて作業を手伝わせていただけることに!

篠笛制作の第一工程でありスタートという、重要な工程の一つをやらせていただきました。
工房では見ることの出来ない、選定作業とはどのようなものなのでしょうか。

(和康さんに関する記事はこちら「世界で一本の篠笛をつくる笛工房和康」)

1,竹を刈り取る

雌竹

篠笛の材料は雌竹(めだけ)です。上の写真のように群生しているのが特徴です。
この竹は、間引きと言って所々を刈り取ってしまうと一帯が死滅してしまう性質があるため、手前に生えているものから残らず刈り取りながら篠笛に適した竹のある地帯まで入っていきます。ジメジメとした湿気の多い場所の方が篠笛に適した竹が多いそうです。
専用のナタで刈り取っていくそうですが、密集して生えているため時間がかかる大変な作業であることが伺えます。

2,使える部分を切る

竹 切る

刈り取った長い1本の竹の中で、節間が必要な長さだけあり、なるべく真っ直ぐな部分を切っていきます。中には全く取れる部分がないものもあります。
一本調子のように長くて太めのものはなかなか見つからないものです。
私はこの作業からお手伝いしました。和康さんに切る部分にマークをつけてもらい、無心になって切っていきました。

3,同じ長さごとに束ねる

束ねる

切り取ったものの中で、同じ長さのものを集めて束ねます。工房まで配達してもらうため、フィルムで巻いて作業完了です。

おまけ

能管のど

こちらじゃ、能管の「のど」に使う竹だそうです。このように、太さを計測して適したものを選んでいます。

おわりに

この時期になると、笛師の職人は自ら雌竹のある産地に行き、その年に使う竹を選定します。
選定した竹は、火入れをして真っ直ぐにする・煮る・洗うなどの工程を経て、乾燥させます。大量の竹を選定するものの、乾燥中に割れてしまうものもあるため、3年後に篠笛になるものはさらに限られてきます。
このように、刈り取って選定するところから丹精込めた制作が始まっているのですね。

篠笛

余談ですが、半日のお手伝いでしたが翌日にひどい筋肉痛になりました…

田中さん

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