1200年以上続く伝統文化−絽ざし−

日本ならではの文化の中には、他国からもたらされ、独自の発展を遂げた文化もあります。
その一つに、人々の衣服に華を添えてきた刺繍があります。 刺繍は日本刺繍と絽ざし(ろざし)の2つに分類されますが、今回は「絽ざし」についてご紹介します。

(絽ざし作家黒川朋子さんの記事はこちら「日本独特の繊細さを活かしたい−絽ざし作家 黒川朋子−」)

◎絽ざしとは

日本独特の手芸の一つであり、区限刺繍の一種です。その歴史は約1200年と言われています。
元々、中国の三大刺繍の一つであった絽ざしは、奈良の東大寺建設の際に使用され、仏像用の敷物が作られました。その後、江戸時代には佐賀錦と同様に公家の間で手すさびとして流行しました。このことから「公家絽ざし(くげろざし)」とも言われることが多いです。 当時は、着物や羽織用に用意した特別な布に直接刺していたものが多く、中には屏風や帯も作っていたと言われています。 また、尾張徳川家19代目当主である徳川義親の妻、徳川米子は「糸栄会」という絽ざしの会を発足させ、その発展に貢献しました。 明治時代に一度廃れてしまったものの、大正時代に復活し、一般に親しまれるようになりました。大正・昭和初期には絽ざしを施した帯や着物を婚礼で身に付けることがステータスとされていました。

絽刺し専用の針(左)は糸が通しやすいように穴が大きくなっています

絽ざし専用の針(左)は糸が通しやすいように穴が大きくなっています

◎制作工程

①枠に生絽/絽布を張り付ける

刺す生地は「生絽(きろ)」といい、夏用の透ける和服地を使用します。この生地は薄さだけではなく、針が刺しやすいように糊が強めに付けられているのが特徴の一つです。

②墨で下絵を布に写す

この工程では、日本の伝統模様などを活用し作る作品のイメージ図を作ります。

rozashi-koutei

③図案通りに絹糸で埋め尽くしていく(刺し)

絽ざしの最大の特徴はその刺し方です。直線に刺していく事が日本刺繍との違いであり、絽ざし特有の技法です。
絽ざしの基本的な刺し方である「基本刺し」は以下のようになっています。

基本刺し

基本刺しをマスターすると、アレンジを施した「応用刺し」も出来るようになります。これらを掛けあわせて柄を作ります。

応用刺し① 応用刺し②

◎作品紹介

五月人形を施した絽刺し

五月人形を施した絽ざし

着物の袖部分に絽刺しで柄を入れるだけで印象が変わります

着物の袖部分に絽ざしで柄を入れるだけで華やかになります

花札の柄を絽刺しで

花札の柄を絽ざしで

絽刺し柄のバッグ

絽ざし柄のバッグ

絽刺しのトートバッグ

絽ざしのトートバッグ

〜最後に〜

絽ざしは特別な資格などが必要なく、刺し方の基本を学び、材料を集めるだけで始められる日本の伝統文化の一つです。
絽ざし専用の針や糸を取り扱うお店が減ってしまっていますが、都内では東京都中央区にある株式会社 越前屋で購入することが出来ます。
⇒株式会社 越前屋のHPはコチラ

日本の伝統模様と合わせて自分が好きな柄を作ってみてはいかがでしょうか?