鮮やかなガラスの伝統工芸品ー七宝ー

伝統工芸品として、100年以上の歴史が七宝にはあることをご存知でしょうか。女性のアクセサリーとして知られる七宝ですが、その歴史や制作工程についてはあまり知られていないかもしれません。今回はその点をご紹介していきます。

写真の色味は実物と多少異なる場合があります。

千年の輝きを作る七宝職人ー坂森 登ー

2020.10.31

七宝とは

七宝は、金銀銅などの基板にガラス質の釉薬(ゆうやく)を乗せて800度前後で焼いて作る工芸品です。「七」の由来は、仏教典で七種の宝石である金・銀・瑠璃(るり)・玻璃(はり=水晶)・珊瑚(さんご)・瑪瑙(めのう)・蝦蛄(しゃこ)に例えられたことにちなんでいます。

有線七宝とメタル七宝

日本の七宝には大きく二つの流れがあり、一つは名古屋発祥の有線七宝です。これは銀の枠を作ってその中に釉薬を盛っていく特徴があります。同じ枠の中に何色も入れてぼかしを作ったりと、多くは花瓶・額・皿などの一品ものを作る技術です。
もう一つは、東京で発展したメタル七宝です。釉薬を盛る基板の作成に、型を用いてプレス機で同じ形のものを大量に作る特徴があります。例えば、学校で使うクラスバッチのように同じものをたくさん必要な場面で使われています。有線七宝とは異なり、一つの箇所に一つの色だけを盛っていきます。勲章を作るための技法を明治時代に民間に伝えたことから広まりました。

釉薬

七宝の釉薬はガラスを使います。写真のように粉状のものと、粗いものがあります。粗いものを盛ったところは、焼成すると滑らかな凹凸になり、それがまた作品の特徴になっていきます。

 

歴史

七宝の歴史は、ツタンカーメンの黄金のお面に青色のガラスが使われていることから、古代エジプトまで遡ります。中世にはキリスト教の聖具に使用されており、多くの遺品が発見されています。中国では1450年頃に七宝が発達しました。日本には朝鮮の技術者より技法が伝習され、江戸時代に七宝師が誕生しました。
日本の七宝が世界から注目されるようになったのは1830年頃、オランダ七宝の研究がされた頃からで、明治には代表的な輸出品として世界に広まりました。

メタル七宝制作工程

メタル七宝が完成するまでには七宝職人だけではなく、プレス屋やメッキ屋も関わる分業になっています。ここでは、七宝職人が関わる制作工程をご紹介します。

空焼き

プレスでできた素地の油を落とし、釉薬の盛り付けができる状態にします。

酸洗い

空焼きの際にできた酸化膜を綺麗に洗います。

一番盛り

釉薬を「ほせ」という竹のヘラで盛っていきます。釉薬はガラスを粉状にしたもので、水と混ぜて使います。

上:ほせ 下:筆

粉状の釉薬

一番焼き

約800度の電気炉で焼成します。釉薬によって適切な温度が異なるため、多色を盛った場合はそれぞれの色がしっかりと出る絶妙な温度・時間で焼成します。

※ここからは作品に応じて工程を繰り返します。
酸洗い→二番盛り→二番焼き→酸洗い→三番盛り→三番焼き→…

粗研ぎ

表面の釉薬を削り、模様を研ぎ出します。

仕上げ研ぎ

より細かい砥石で研ぎ出します。

仕上げ焼き

最後の焼成をします。

メッキ仕上げ

研いで出てきた素地にメッキを施して完成になります。

制作工程

〜最後に〜

作品によっては焼成を20回おこなうものもあり、その全ての作業で失敗が許されないものです。そうして出来上がった作品には、思わず見入ってしまう魅力がやどっています。

千年の輝きを作る七宝職人ー坂森 登ー

2020.10.31

参考:http://sakamori-shippo.com/freepage_2_1.html

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