東京メトロ東西線妙典駅から歩いて約10分。
道中で印象的な屋根が見えてくる。
こちらが今回取材をさせていただいた、中台製作所だ。150年もの歴史がある老舗の神輿屋である。
日本人が誇る文化、祭りには欠かすことの出来ない神輿。それを支える職人集団の代表、中台洋(なかだいひろし)さんにお話を伺った。
(お神輿の制作工程はこちら「神輿はこうして出来ている」)
◎なぜ、この地に神輿屋が?中台製作所の成り立ち
中台製作所がある千葉県市川市の行徳界隈では、かつて徳川の塩田が広がっており、物資を運ぶための水路が江戸城へ通じていた。このような地の利と、神社仏閣が多く、神輿づくりに必要な職人が揃っていたことで、神輿の産地として発展してきたのだ。
◎創業以来150年続けられた理由
神輿の生産量が、そこまで多くないということは、想像に難くないだろう。実際に、中台製作所の周辺には同業者が数店舗あったのだが、現在は同社だけが残っている状況だ。
原因は様々ある中でも、後継者不足が大きいという。
「やり方しだいで何とかなると思っているし、お客様がいる限りはそれに応えていきたい」と、中台さんは言う。
業界全体が苦しい中でも、神輿というものと、神輿文化を海外にも積極的に発信していこうと前向きな姿勢であり続ける中台さんの強い意気込みを感じた。
◎海外からの受注、海外での反応
そんな中台さんが力を注いでいるのは、海外市場の開拓だ。最近では、台湾からの注文を受けたという。現地の祭りで実際に担がれるそうだ。
しかし、文化の違いで新たな問題も生じる。例えば、フランスで行われた日本文化を広めるためのイベントで神輿を紹介する機会があり、神輿がどういうものかを説明した。神輿の主要な材料は、けやきの木なのだが、「樹齢が何十年もある立派な木を切っていいものか」と厳しい指摘を受けたそうだ。
海外進出における乗り越えるべき障壁を目の当たりにした瞬間だったという。
文化が違えば着眼点もまた違ってくる。しかし、「神輿というのは神様が乗るものという、本来の意味をしっかりと伝えていくことが大切だと考えている」と中台さんは言う。
◎神輿文化をこれからどのようにしたいか
「フェスというかたちだけではなく、氏子が担がせてもらっているというような、本来の意味を持ちつつ、時代に合わせた楽しいものであればいいと思う」
過去を知ったうえで、その時代に合った人々を活気づけるものであるようにとの思いを聞いた時、私たちこそが「神輿とは何か」を知っておくべきなのではないかと気付かされた。
【中台製作所】
住所:千葉県市川市本塩21-3
TEL:047-357-2061
HP:http://www.mikoshiya.com/index.php
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