日本伝統の遊び、折り紙。
近年では「ORIGAMI」として世界共通語になってきている。
方形(ほうけい)の紙を折るというシンプルなものにも関わらず、ひとり一人の心の中にいきづいてきた折り紙。その歴史を辿ってみよう。
7世紀はじめに大陸から紙の製法が伝えられた後、日本では和紙が生まれました。
はじめは写経などの用途に使われていましたが、神事にも用いられるようになり、神への供物を紙で包むようになりました。そこで、包んだ時に折り目がつくことに着目し、包を美しく折って飾る「儀礼折り」が生まれます。
江戸時代になると、礼法や決まりから離れ、折り方そのものを楽しむようになり、明治時代に入る頃には幼稚園教育にも取り入れられ、ますます盛んになりました。
そして、現在では世界各地に広まっており、複雑なものもたくさん創作されています。
ではなぜ、折り紙文化が生まれたのでしょうか。 そこには、日常で目にしていた風景や、生活様式が密接に関わっていました。
1, 水田稲作文化と方形の美
季節の変わり目に沿った折り目正しい生活と、方形の水田が並ぶ直線と正方形や長方形の美しさは、日本人が最も見慣れた風景でした。
2, 畳む文化と内向き志向の文化
日本では毎日寝具をきれいに畳んで収納し、和服も畳んで箪笥(たんす)にしまいました。 畳むことは整理することを意味します。
連作が可能な水田稲作農業は、人の定住化を勧め、世界の他の国々で多く見られる遊牧文化とは対照的でした。そのため、一所懸命という言葉があるように、共同体の中で内向きの生活をしてきました。
それが、限られた資源を有効に利用し、つつましさを美徳とする包む文化を生んだのです。
ところで、11月11日は「折り紙の日」であることをご存知でしょうか。
数字の1が4つ並ぶ11月11日、数字の1を正方形の一辺と見立てて、1が4つで正方形の折り紙の4辺を表すことから、1980年に制定されました。
この日は世界平和記念日にもあたり、千羽鶴に平和の願いを託すように、なにか相通じるものがあることも制定した理由のひとつかもしれません。
参考: 日本折紙協会
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