家を建てる前に

就職、結婚、そしてマイホーム購入。
人生において一大イベントといえる出来事はたくさんあります。
今回はその内の一つのマイホームを建てる際に行われる儀式についてご紹介します。

これらの儀式は家を建てるときだけとは限らず、様々な建造物の建築の際に用いられる。なぜなら、生活や営みなどと言った人々の交流がその土地で生まれることから行われているからです。また、その土地の良し悪し関係なく、その後のゲン担ぎも兼ねていることが多いようです。

①地鎮祭(じちんさい)とは

地鎮祭は家を立てたり土木工事をする前に行われる安全祈願の儀式です。作業をするにあたり、その土地の汚れを清め祓い、土地に宿る神霊を鎮める為に行われます。この儀式を行う際には神主が呼ばれ、現在では住宅のみならず、最先端の工場などを建てる際にも行われています。

今や神主が呼ばれるようになりましたが、平安時代には陰陽師(おんみょうじ)という呪術師が呼ばれていました。神主が呼ばれるようになったのは明治以降といわれています。

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【儀式について】

建設予定地の一部の四隅に青竹(あおたけ)を立て、しめ縄を巡らせ、その中央に砂を盛り、盛った砂の前に祭壇を設けます。祭壇にはお供え物をします。

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この一連の準備が終わった後に神主が祝詞をあげて、参列者にお祓いをし、御神酒を盛り砂の上にかけた後に施工主が盛り土の上に鍬入れをします。

※この鍬入れは、神霊の守護の元で地面を掘り起こすという意味がある。

一連の流れが終わったら、施工主や家族・建築関係者たちが神霊に玉串を供えて儀式が終わりとなります。
この儀式の後に関係者全員で祝宴となるのが通例ともなっています。

②棟上式(むねあげしき)とは

棟上式は、家の骨組みが出来上がって、柱や梁の上に棟木を上げる際に行われる儀式です。建築が完成間近まで進んだことを土地の神霊に報告し、感謝する儀式であり、この儀式には現場で働いた職人たちへの労いの意味も含まれています。神主を招くこともありますが、最近では大工の棟梁を中心とし、現場で活躍したとび職や左官たちの手で行われます。

【儀式について】

足場の良い玄関や廊下などの部分に簡単な祭壇をつくり、そこに野菜・酒と共に洗い米や塩を盛った皿を用意します。

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幣串(へいぐし)と呼ばれる魔除けの飾りを、縁起の良い方角に向けて棟木の支柱にしばりつけて、屋根を葺(ふ)くまで飾ります。屋根が葺き終わった後に現場に簡易的な机を作り、酒宴を催すのが一般的です。この酒宴の際に施工主は祝儀を用意し現場で活躍した職人たちに祝儀を渡してもてなします。

日本では昔からこのような儀式が行われてきましたが、
最近では少なくなってきているようです。
この2つの儀式は必ず行わなくてはいけないものではありません。
ですが、この儀式は「やること」を目的とするのではなく、職人たちとの顔合わせとしての意味合いが強くあります。どんな職人が自分が今後住む家を作ったのかを知ることにより、尚更愛着がわくのではないでしょうか?
また、職人もその家に住む人のことを考え、仕事に張り合いが出てくることでしょう。

出来上がりに差が出るわけではありませんが、職人と住む人の「想い」が詰まった家を作るための機会となります。
このような職人と依頼主が顔を合わせる場を設けてくれる、日本古来から行われている「式典」を大切にしたいですね。

 

参考:
冠婚葬祭マナー辞典

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