第3回伝統工芸を繋ぐものたち展@佐倉

6月3日㈯から4日日に渡り、千葉県佐倉市の新町通りをメイン会場に「まちのわ2017」が開催されます。

職人仕事を生業とする5名の職人による作品展示会「伝統工芸を繋ぐものたち展」は同じ佐倉市で開催されており、職人の日々の制作現場の雰囲気を感じ取れ、作り手の作品も顔も見れるアットホームなイベントとなっています。

今回は、作り手による新しい形のイベント「第3回 伝統工芸を繋ぐものたち展」をご紹介します。

イベント詳細

日程
2017年6月2日㈮〜5日㈪
(2日:午後1時〜午後5時/3日・4日:午前10時〜午後5時/5日:午前10時〜午後3時)

出展者(五十音順)
◇今井晴子 氏:手描友禅
◇桑原牧子 氏:手描友禅
◇嶋野浩司 氏:組子細工
◇中村航太 氏:江戸組紐
◇松本 香 氏:芝山細工

場所
嶺南寺 (れいなんじ)
〒285-0023 千葉県佐倉市新町74

アクセス
京成線 京成佐倉駅より徒歩10分ほど

伝統工芸を繋ぐものたち展

今回で3回目を迎える「伝統工芸を繋ぐものたち展」は、佐倉・松戸在住の職人によるイベントであり、職人が作る作品を見れ、職人と直接接することが出来るイベントとなっています。

作品の展示だけではなく、それぞれの作品の説明を作り手から直接聞くことが出来ます。

出展者による作品展示

江戸組紐:中村航太 氏(松戸在住)

中村氏が作る「江戸組紐」は、千葉県指定伝統工芸品であり、細い絹糸や綿糸を編んだり織り上げた紐を指します。仏具などの付属品の飾り紐として日本に渡来した後に、男女の礼服として普及し、鎌倉時代には武具の一部、安土桃山時代には茶道具の飾り紐として使われました。

明治時代以降には、帯締めの用途を中心に装身具として定着しました。

江戸組紐

手組みで作られる江戸組紐の工程

2015.12.11
中村さん

江戸組紐の老舗「江戸組紐 中村正」4代目 中村航太

2015.12.09

組子細工:嶋野浩司 氏(佐倉在住)

組子細工は、釘を使わずに木を組み合わせる技術であり、まるで「木のレース」とも言えるような見た目を持ちます。細くひき割った木に溝や穴を作り、カンナなどを使用し、全パーツを調整しながら組み合わせます。元々は建具の装飾として使用されており、現在は額縁にいれて飾ったり、屏風などに応用されています。


芝山細工:松本 香 氏(佐倉在住)

漆工芸の一技法である芝山細工は、角や貝などを染色し、それぞれの文様に彫刻・切り分けて、漆器や漆塗りの屏風などに象眼します。他に、べっ甲や象牙をも利用することがあり、現在は漆関係意外にも帯留めやアクセサリーなども製作されています。


手描友禅:今井晴子 氏(松戸在住)/桑原牧子 氏(佐倉在住)

江戸友禅とも言われる(東京)手描友禅は、布に模様を染める技法の一つであり、その特徴は、江戸の街の文化を背景とした、渋く落ち着いた色合いと都会的センスあふれる洒落感がある作風です。どこか職人の遊び心をも感じ取れるのが手描友禅でもあります。

今井晴子 氏の作品
桑原牧子 氏の作品

友禅染めの技法と工程

2015.01.03

運営者よりメッセージ

主催者を代表して桑原氏と中村氏からメッセージをいただきました。

桑原「千葉県に住む伝統工芸の仲間たちに最初に東京で出会いました。地元で活動する仲間がいると知り、出来れば仲間と地元でイベントを主催したいとなり、皆さんにお声がけをし、第1回を開催しました。最初にテーマとして『縦にも、横にも繋ぐ』ということを決めました。「地域」という枠を通して仲間を一人でも増えたらと思います。

作り手が直接お会いして、お客様とお話できるイベントとなっております。普段売られているモノの作り手と会って話せる。そして千葉県で活動する作り手が、千葉県で発表する機会があるというのが魅力だと思います。ぜひ、ご来場ください。」

中村「6月2日から5日まで、千葉県佐倉市で「伝統工芸を繋ぐものたち展」を開催しています。江戸組紐、手描友禅、組子細工、芝山細工の若手職人が直接会場に来て作品について説明をします。ぜひ、ご来場ください。お待ちしております。」

左:桑原牧子 氏(手描友禅)
右:中村航太 氏(江戸組紐)

動画もご覧ください!

〜最後に〜

昨今、大手百貨店や都内のギャラリーで開催されるイベントが多くなっていますが、まだまだ職人による主催イベントは少ない印象です。

「伝統工芸を繋ぐものたち展」は、5名の職人による新しい形のイベントであり、今後の伝統工芸継承に必要な改革の一つであると感じ取れるイベントとなっています。桑原氏、中村氏からメッセージを頂いたとおり、作り手と近い距離でコミュニケーションが取れるイベントとなっています。取材中も実際に来場者とのトークを楽しむ場面も見ることができ、作り手と使い手が楽しく会話をする場面を見ることが出来ました。

同時開催されている「まちのわ」や「にわのわ」も含め、とても充実した時間が過ごせるでしょう。

ぜひ、「伝統工芸を繋ぐものたち展」「まちのわ」「にわのわ」に足を運んでみてはいかがですか。

動画も合わせてご覧ください!

【文責:戸田 秀成】
【写真:金子 燎之介】