石田毅司(Tsuyoshi Ishida) イシダ商店3代目。つまみかんざし職人。 23歳からつまみかんざし作りを始める。手作りにこだわり、デザインから完成までを自身で手掛けている。新宿ミニ博物館の一つ「つまみかんざし博物館」を工房にて運営。趣味は映画鑑賞。
(つまみかんざしに関する記事はこちら「『江戸つまみかんざし』の伝統製法とは」「日本人の美意識がここに『つまみかんざし』の魅力とは」)
◎職人になったきっかけを教えて下さい。
祖父の代からこの仕事をしており、私で3代目になります。私が職人になった当時つまみかんざしの職人が減っていて、継げば安泰という状況ではなかったのですが、元々ものづくりが好きだったことと、直接お客さんに販売することを始めた時期でもありましたので、「よし、頑張っていこう!」というような意気込みもあり職人になる道を選びました。
◎制作におけるこだわりはどんなところですか?
まず素材は、祖父の頃から使っている絹の羽二重(はぶたえ)を使うことです。化学繊維をはじめ様々な素材がありますが、作業がしやすいことと、やはり仕上がりが綺麗というところでこだわって使っています。また、古い工芸品で江戸時代からのものをそのまま作っているイメージがあるかもしれませんが、毎年新しいデザインを30~40種類くらい出しています。
◎デザインのアイディアはどのように浮かぶのですか?
常日頃アンテナを張って、参考になるものを探しています。かんざしは着物を着た時に使うものですから着物を参考にしたり、自然にあるものからヒントを得たり、家紋は昔からのデザインと言えますからそういうものも参考にしています。
◎石田さんの作品ならではのところを教えて下さい。
素材に羽二重を使うということと、使う布(きれ)を小さくして細工を細かくしているところです。同じ大きさの花を作るとして、布が大きい方が一枚一枚の花びらが大きくなりますから、手間が少なく早く出来上がり見 栄えが出ます。一方で、小さい布の場合は花びらをたくさん作る必要があるので手間がかかりますが、見栄えや綺麗さがより良いものが出来上がるので、その点は私の作品ならではです。
◎つまみかんざし作りの魅力を教えて下さい。
デザインを含めて完成まで全て自分で作れるところや、色の並べ方は一度作ってみて見栄えを見ないと良し悪しがはっきりと分からないので難しいところですが、頭で思い描いたデザインが形になっていくところがやっていて面白いです。
〜おわりに〜
石田さんは、先代からの技を受け継ぎ伝統的なつまみかんざしを作り続けている。つまみかんざし作りは手軽に始められますが、伝統的なつまみかんざし作りが主流であり続けたいという思いや、使い手に喜んでもらえるようにと細かい細工で手間をかけ、より良いものを作っていることが伝わってきた。これからも女性の髪を美しく飾り、見る者も笑顔にするようなつまみかんざしを作り続けてくれるだろう。
【つまみかんざし実演販売予定】
2016年 2月17日(水)〜23日(火)
高島屋新宿店 11階・呉服売場
【イシダ商店/つまみかんざし博物館】
場所:東京都新宿区高田馬場4-23-28 ヒルズISHIDA401
Tel/Fax:03-3361-3083
Mail:kanzasi@ask.ne.jp
HP:http://www.ask.ne.jp/~kanzasi/
博物館開館日:水曜日・土曜日のみ
開館時間:10:00~17:00
※4月と10月に作品の入れ替えがあります。