釣り好きが憧れる和竿の魅力とは―竿好 吉澤均―

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吉澤均(Hitoshi Yoshizawa)

竿師 竿好(さおよし)。横浜皮はぎ研究会会長。
鶺鴒(せきれい)吉田喜三郎氏に弟子入りし、竿好の名をいただく。1人ひとりに合った1本を、見えないところまでこだわり、妥協せずに最高のものをつくる。

(和竿の制作工程についてはこちら「3年で仕上がる和竿の制作工程とは」)

3年で仕上がる和竿の制作工程とは

2015.10.19

17年前のあるきっかけから職人の道へ

戸田雄大(以下、戸田) 吉澤さんが職人になられた経緯を教えていただきたいのですが。

吉澤均(以下、吉澤) 小さい頃からずっと釣りをやっていて、釣りが好きなんですが、ある時先輩に和竿を使わせてもらって、それまで市販のグラスロッドを使っていたのですが、その時に味わいの違いや面白さが分かってしまったというのがスタートですね。僕の師匠は皮はぎ竿作りでは日本一だと思っているんですが、そこに弟子入りしました。

戸田 本当に魅了されてこの道に入られたんですね。

吉澤 そうそう。お願いして、頼み込んで弟子にしてもらって(笑)

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今あるグラスロッドの原点=横浜竿

戸田 和竿の良さって、どういうところですか?

吉澤 皆さんよく重そうだって言うんだけど、実際は軽いんですよ。ほら。(竿を渡す)

戸田 あ、本当にそうですね、軽い!

吉澤 そお、軽いから一日振ってても疲れにくいです。自然にある竹を使って作っているから世界に1本の竿、オンリーワンなんですよ。使うお客さんに合わせてオーダーメイドで作るから、理想の調子のものを手にすることができます。それから横浜竿は、ガイドとリールシートがついてるのが特徴ですよ。

戸田 そうですよね。歴史があるとは言え、現代寄りな竿なんですね。

吉澤 横浜竿は今の竿の原点ですよ。

戸田 横浜竿と江戸和竿の明確な違いってあるんですか?

吉澤 発祥というか歴史が違うんですね。横浜竿は、明治初期に横浜の漁師が船で漁をする時に使った竿なんですよ。

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戸田 へー、なるほど。

吉澤 江戸和竿っていうのは、お大臣のお遊びのためにというのかなあ。

戸田 芸術性が高いってことですか?

吉澤 例えば金色のおもりでタナゴを釣るとか、そういう落語じみた話ですけど、そうやって楽しむためのものだったんですよね。江戸和竿の歴史は300年くらいありますよね。

若い世代へと受け継いでいきたい

戸田 伝統工芸は後継者の問題がよく取り上げられていますが、和竿の業界はどうですか?

吉澤 そうですね、高齢な方が多いです。今は東京都の職人塾というプログラムで、若い人に和竿づくりを教えています。仕事を20日間やってもらうんですけども、和竿づくりというのは、自分の感覚でやっていくもので20日間が終わったら即戦力になるかというと、そうはいかない。僕のところで雇うっていうのが厳しいので難しいんですよ。今教えてる篠田君なんかはセンスがいいし、このまま続けていって欲しいです。

気づかれないところにも美しさを出したい

戸田 和竿の原料は竹ですが、竹を使う職人の方々に、湿度の変化に耐えて割れない竹を選定しているとよくお聞きますが、和竿も例外ではないですよね。

吉澤 そうですね。僕の場合は割れないことはもちろん、ある程度のテーパーがあって、節の間隔が短いものを選んでいます。(節の間隔を見せる)

戸田 あー確かに短いです。この方がキレイに見えますね。

吉澤 ええ。それから、割れないものを選定するのに3年は寝かせて置いておきますね。

戸田 3年ですか。少なくとも3年後にやっと竿になる工程に入るんですね。そこから完成まではどのくらいかかりますか?

吉澤 そうだなー。ものによりますけど、3ヶ月はかかりますね。漆を使う工程もありますから、これが乾かないと次に進めなかったりするからね。あとは、本当にいいものを使ってもらいたいから、普通に使うぶんには気づかないようなところも妥協せず作りこんでいます。

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戸田 その長い工程を一生懸命やる中で、面白さやこだわりはどういうところですか?

吉澤 やっぱりね、イメージ通りの製品に仕上がった時ですね。愛情をもって一生懸命つくって、お客さんに喜んで使ってもらえることが嬉しいですから。それから、隠れたところの美しさを出すまで妥協しないことですね。自然に生えている竹を使って、工業製品にはできないくらいのこだわりを持ってやっています。

(終)

竿好

3年で仕上がる和竿の制作工程とは

2015.10.19

【竿好】
場所:東京都大田区南蒲田3-15-7
電話:03-3742-1884
Mail:hitoshi@mg.point.ne.jp
URL:http://otacraft.webcrow.jp

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