着る人を笑顔に!東京手描友禅、町田さんのこだわりとは

町田さん
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町田久美子(Kumiko Machida)

有限会社マチダ代表取締役。東京手描友禅の職人。
1978年生まれ。東京都大田区出身。長澤龍二氏に師事した後、2009年に独立。プロジェクトチーム「そめもよう」を結成し、イベントなども積極的に行っている。

(友禅に関する記事はこちら「友禅染めの技法と工程」)

友禅に惹かれ、プロの世界へ

戸田雄大(以下、戸田) 14歳の時に友禅と出会ったんですよね。その時に見たのは加賀友禅だったそうですが、どういうきっかけで目にしたのですか?

町田久美子(以下、町田) 家族旅行で石川県に行った時に、加賀友禅館でたまたま見たのがきっかけです。実演で色挿しをしている職人さんがいらして、それを見て「こんなに楽しそうな仕事があるならぜひやりたい!」と思ったのを覚えています。その時に見た着物は、写実的な草花の図柄で、身にまとう絵画のようだなと感動しました。

戸田 14歳から染色美術学校に入るまで、友禅との関わりはありましたか?

町田 友禅のことをたくさん調べたりはしていましたね。着物の本とか見ていました。そうしている中で、友禅の職人になることの厳しさというのが分かってきて、すごく悩みました。なので、大学受験の勉強もしてました。だけど、将来会社員になっても絶対に趣味でやるだろうなと思ったんですよね。だったら最初からプロとしてやっていきたいと強く思って、友禅だけ学べる染色美術学校に進みました。

町田さん

戸田 その後、長澤先生に弟子入りしましたが、決めた理由は何かあったのですか?

町田 当時は、就職する工房が見つからなくて、展示会に行っては弟子入りさせてくださいとお願いしていたんですね。業界が落ち込んで大変な時に、受け入れてくださったのが長澤先生だったんです。週に1~4回通わせていただいていたので、空いた時間に友禅以外の技法、着物の文化や着付けなど学んでいました。厳しかったですが、10年間は先生のもとでやると決めていたので、10年間教えていただきました。

女心をくすぐるような工夫と、着る人を考えた制作を

戸田 町田さんの作風はどういった特徴がありますか?

町田 現代の色柄が多いところですかね。古典的なものだけでなく、この時期ならクリスマスリースの柄を描いたりします。糸目糊を引かないで、墨線を引いて中に色を入れていくような技法を取り入れたりもしています。あと意識しているのは、柄を控えめにすることで着ている人を引き立てるような作品づくりをすることと、コーディネートのしやすさにも気を配っています。一見、梅の柄に見えるものでも、よく見ると1つ1つの花弁に亀が描かれていたりという可愛らしさにもこだわりがあります。

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戸田 そのような図案のイメージは、どういう風に思い浮かぶものなんですか?

町田 散歩しながらだったり、本を見ながら探していきますね。あとは季節のものを自分なりに表現するときもあります。

時代の変化にあわせながら、より多くの方に知っていただけるように

戸田 町田さんもメンバーでいらっしゃる「そめもよう」というグループについて、お伺いしたいです。結成された経緯など教えて下さい。

町田 そめもようは、2013年に結成した女性職人9人のグループです。それぞれが、以前からグループをつくりたいという思いもあって、発足しました。それぞれがセンスがあって面白い作品をつくっているのに、独立したてであるがゆえに商品数が少なかったり、知られていないといった課題を抱えていました。なので、グループを組んで表に出ていこうという風になったんです。9人で集まることでいろいろな作品を用意できますから、お客様の好みにあったものを提供できますし、作り手自身が展示会などで店頭におりますので、お客様と近い存在になることで、安心して着物を見られる環境をつくっていければと思っていますね。

そめもよう

戸田 最後に、東京手描友禅をこれからどのようにしていきたいですか?

町田 これからは、作っているだけではダメだと思うんですね。制作から販売までをやっていかなければならないなと感じています。その中でも、制作することと販売などをすることのバランスを整えたうえで、若い人にも伝えていきたいので、後継者を育てていきたいという思いはあります。それと、東京オリンピックを機に「東京」と名のつく工芸品ですから、何らかのかたちで世界にアピールできたらと考えています。

(終)

 

インフォメーション
染めの伝統技法を受け継ぐ若手作家グループ「そめもよう」
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染芸展
期間:2016/3/4(金)~3/6(日)
場所:東京都産業貿易センター台東館5階

第54回染芸展

【有限会社マチダ】
場所:東京都大田区中馬込2-5-10
Tel:03-3772-8357
Fax:03-3772-8358
携帯:090-1771-5538
Mail:magomemachida@ybb.ne.jp

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