三毳の土に生き、炎と闘う−みかも焼 川原井文雄−

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川原井文雄(Fumio Kawarai)

有限会社栃木製陶みかも焼代表。陶芸家。
1968年生まれ。栃木県下都賀郡(現栃木市)出身。市内の岩舟町で全国唯一のみかも焼窯元「三毳焼小楢窯」を営む。高校卒業後県内の窯業指導所で基礎を学び、創始者である父の元でみかも焼制作の修行を積む。現在は跡を継ぎ、2代目として日々新たな製品を生み出し続けている。

下野国より生まれ出る全国唯一の陶器「みかも焼」

2016.01.04

◎みかも焼とはどのような焼き物ですか

元々このあたりの地域では1200年前の平安時代に国分寺の屋根瓦を作っていた歴史があり、今でも窯の跡が残っているんです。基本的には当時と同じ三毳山(みかもやま)周辺で取れる土を使っています。特に定義は無いですが、やはり粘土にはこだわっていて、地元の土をベースにして作らなければみかも焼では無くなるという気持ちがあります。

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また、この土には鉄分が多く含まれていて、焼くと黒っぽくなり、素朴で温かみのある焼き物に仕上がります。鉄分には抗菌作用があるので水が腐りにくく、花瓶などは花が長持ちすると評判が良いんですよ。水道水のカルキも抜けたり、お酒も浄化されてまろやかになるのでカップのような食器も相性が良いですね。

◎先代が始めたみかも焼を継ぐことにした理由・経緯を教えて下さい

子供の頃から土をいじるのが好きで、自然とやりたいと思っていましたし、当然やるものと思っていました。まずは高校を卒業してすぐ、益子にある窯業指導所で一年間、ろくろの技術や釉薬、窯のことについて学びました。その後は人手が足りず父親も歳をとっていたので家に戻りました。

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もっといろいろなところで修行しても良かったんですが、三毳地域では昔からろくろの回転が普通と逆で反時計回りなんです。だから他所でやればやるほど下手になってしまうんですよ。とにかくたくさん作って数をこなさないと腕は上がりませんし、一人前になるべく家で制作を続けて来ました。今でもまだまだだと思っています。

◎現在大変だと感じていること、直面している問題は何ですか

今は一時期より売れ筋が悪いものが少し多く、あれこれ試しながら作ってる状況ですね。個人窯なので全国的な知名度や認知度はまだ低いです。それでも定期的に長野、静岡、和歌山などで行われる陶器市に宣伝も兼ねて出ています。直接お客さんの声が聞けるので勉強にもなります。制作中は工房にこもりっきりになるので、こうしてたまに外に出るのは大切なことだと感じています。多少のもどかしさはありますが、地道にやっていくしかないと思っています。陶器市は年に二回、うちでもやってるんですよ。

◎川原井さん自身が催している陶器市について詳しく知りたいです

5月のGWに絡めた春と、11月の秋にここ「三毳焼小楢窯」でやっています。セール品は25%引きで、その時期だけ外にテントを張って窯傷を出したりしています。窯傷というのは窯で焼いている最中に入った傷やヒビのことで、割れたところから焼き締まってたりもして結構面白いんですよ。普段商品としては出してないものなので、あえて選んで買っていく人も多いですね。

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◎新しく取り組んでいることはありますか

新しさを取り入れたいとは日頃から思っています。変わったものを作ろうというのもありますが、結局欲しいと思って使っていただけるのは割とシンプルなものが多かったりするので、お客さんの声から微調整・改良して、その中で新しさを突き詰めていった方が良いのかなと。
例えば年配の女性から、重いものは持てないということを昔から言われていたので食器類はかなり軽く作っています。でもあまり薄くしすぎると見栄えが貧弱だったり壊れやすくなったりするので、重量のバランスも考えなければいけませんが。デザインについても同様で、頭に浮かんだりもしますが、実際に使った時の感想・指摘を受けて試行錯誤を重ねた結果できてるものもありますね。

◎日々の喜びや想いをお聞かせください

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頭で考えたものが思い通り、想像以上に良くできた時は嬉しいですね。焼くと土は縮みますし、窯で釉薬による色合いや柄も変化するので、焼き上がって窯から出すまで成功か失敗か分からないんです。試しながらやってる分、大失敗もあります。だけどそれも含めてやっぱり面白いと感じています。
一人で毎日制作を続けるのはなかなか大変ですが、お客さんに喜んでもらえるもの。ベタですけどこういうものを第一に作っていきたいと思っています。

~一首・作品紹介~

下野の 三加母の山の 小楢のす ま麗し子呂は 誰が笥か持たむ
(しもつけの みかものやまの こならのす まぐわしこらは たがけかもたむ)

〈現代語訳〉栃木県のみかもの山に生える楢の若木のように、目にも美しいあの娘は誰の食器を持つ(妻になる)のだろうか。

万葉集東歌より

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様々な青色が混ざり合い、美しい富士山を思わせる。

様々な青色が混ざり合い、美しい富士山を思わせる。

ショールームに所狭しと並ぶ。

ショールームに所狭しと並ぶ。

製品は皿、椀、カップ、壺、酒器、花器など。素朴な味わいのある陶器である。

製品は皿、椀、カップ、壺、酒器、花器など。素朴な味わいのある陶器である。

下野国より生まれ出る全国唯一の陶器「みかも焼」

2016.01.04

【有限会社栃木製陶みかも焼】
設立:昭和46年
代表:川原井文雄(2代目)
住所:〒329-4307 栃木県栃木市岩舟町静2232-2
Tel:0282-55-3939
Fax:0282-55-7378
Mail:mikamoyaki@gmail.com
Facebook:https://www.facebook.com/mikamoyaki/

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ABOUTこの記事をかいた人

Tetsu

温泉めぐりや青春18切符での電車旅など、スローライフ好き。海外で農業支援をするべく、ただいま修行中だったり。