茶会の顔、「茶杓」

日本には古来から伝わる「茶道(さどう、ちゃどう)」という芸道があります。「茶道」や「お茶会」と聞くと千利休をイメージする人もいるかと思いますが、実は、平安時代(794年 – 1185年)まで遡る歴史を持っています。

茶道には、茶碗や茶器はもちろんのこと、以前紹介した「香合」や柄杓(ひしゃく)、茶筅(ちゃせん)などの道具も必要となります。
今回は、お茶の席では欠かすことが出来ず、実は奥深い魅力がある「茶杓(ちゃしゃく)」についてご紹介します。

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◎茶杓とは

茶杓は、抹茶を茶器からすくい、茶碗に入れるための茶匙(ちゃさじ)です。
茶杓と聞くと竹製のものをイメージしがちですが、これは今日、一般的に使用されているのが竹製だからです。平安時代にお茶を飲むことが主流となった時は、象牙(ぞうげ)や鼈甲(べっこう)から作られていた薬匙(くすりさじ)を使用していました。
今日使用されているものは、真竹(まだけ)から作られたものが多いです。その理由としては、稈(きび)が肉厚で弾力性があるが故に曲げを始めとする圧力に対する抵抗性が強いため、茶杓に向いているからです。

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◎自分で作る

重んじられている茶杓ですが、かつては主に茶人自らが作ることが主流でした。毎回、その会のイメージに合わせたものを作っては、会が終了したら捨ててしまいます。このようなサイクルがあったものの、千利休の登場により、先生や自分が尊敬する茶人が使った茶杓を保存する、または自分でも使うということが多くなりました。
現在でも自ら制作する茶人はいるものの、多くは「茶杓師」が作るものを使っています。

◎部位と名称

18.5cmを標準サイズとする、茶杓は大きく分けて3つのパーツからできています。
・抹茶を掬う櫂先(かいさき)がある「節上(ふしうえ)」
・持ち手でもある「節下(ふしした)」または「節余り(ふしあまり)」
・節上と節下を繋ぐ「節(ふし)」

茶杓(出典:茶杓

◎入れ物

茶杓は、主に筒状の「詰筒(つめづつ)」に入れます。茶杓を保管する為の筒ではありますが、実は「筒あっての茶杓」とも言われます。なぜなら、この筒には「筒書(つつがき)」といわれる銘や宛名、または年号が書かれるからです。つまり、この筒書は流儀はもちろん、作者が書き、「茶の湯」は茶杓の形やバランスよりも重んじていたのです。

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〜最後に〜

茶杓は、抹茶を茶器から茶碗へ移すときにのみ登場しますが、室内に入るところから始まる茶道では欠かせず、またその茶会の雰囲気を茶碗と共に作り上げる道具であります。
茶道師は、本当に「良い」ものを揃えると言われています。その背景には、もてなすお客様の為、そして自分の為とも言えるでしょう。
道具一つで変わってしまう茶会。もしかしたら、茶杓はその茶会の「顔」とも言える道具の一つなのかもしれません。

 

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